アパレルの在庫問題と改善に向けて

こんにちは増田です。

なんだか最近はリアルに仕事が忙しかったりしていて、こちらの更新が滞ってしまっていました。(1月は結局1回だけしかできなかった….。)

前回までは19回に渡って、ファッションの科学と題して、ファッション小売のビジネス0→1について書いていたのですが、一旦最終回まで書き終えたので、またボチボチとファッションについての思うところを定期的に書いていきます。

ちなみにここだけじゃなくて、DeepValleyのホームページの方でも記事を書いていますし、ちょこちょこメディアにも寄稿していたりするので、そっちもチェックしてもらえたら幸いです。

ブランド側の在庫過多

さて本題ですが、アパレル業界で今一番問題視されているのが在庫問題です。

引用しようかなっと思いましたが、いっぱいありすぎて抜粋するのが面倒なのでやめときます。

気になる方は「アパレル 在庫」とかってGoogleで調べてもらうといっぱい記事出てくるかと思います。

そういった記事を読んでいると、「過剰在庫」って言葉が多用されています。

この言葉ファッションアパレルの業界で働いていると必ず耳にする言葉ではあるのですが、小売出身の僕からするとこの言葉がすごく嫌いです。

在庫として残る商品の要因として大半を占めているのが、見込み通りに売れず、需要を読み違えた商品です。

その中には商品を生産するために、メーカーから求められるミニマムロットをクリアする為、結果的に多めに発注した様な商品もあるかもしれません。

だけど、ハナから機会ロスを懸念して多めに発注したり、ミニマムロットがあるからとはいえ、売れる見込みの無い数を発注する様なことはまずしないです。

だからこそ、結果的には在庫である事に間違いはありませんが、「過剰」という表現はそこで働く人たちがバカにされている気がして僕は好きになれません。

ですが、言い方はどうあれど、こういった「生産ミニマム」「需要の読み違え」といった背景が在庫過多の一因となっていることは事実です。

加えて、時代背景を鑑みない前年踏襲という面もこの問題の一因です。

多くの国内アパレルブランドは国内に向けて商品を供給しています。

しかし、国内のアパレル消費の背景は人口減少、少子化、国内外から競合激化と必ずしも全ての会社がプラス成長できる様な環境ではありませんし、ほとんどの会社が難しいでしょう。

それなのに、必ずしも前年を越える為の売上予算を組み、それに伴う仕入れ予算を組むことはいささか乱暴すぎるのではないでしょうか。

自分たちの立ち位置を把握し、適正な売上予算・仕入予算を組む勇気もこれらの問題を解決する為には必要ではないでしょうか。

メーカー側での在庫過多

ファッション業界というのは、他の産業と比べると、消費においてのトレンドの移り変わりのスピードが圧倒的に速いです。

ここ最近だとスニーカーやワイドパンツみたいな数年間続いている様なビッグトレンドもありますが、ほとんどは短絡的なものです。

その短絡的なトレンドを各ブランドは前シーズンの売れ筋や欧米のトレンドから予測して、毎年新商品として数百型と発表し続けています。

その為、QR(クイックレスポンス)と呼ばれる生産方法が主流になっています。

QRでは、国内で染色が終わった生地または糸があれば、発注から1-2週間で店頭に、中国でも4週間程度、韓国だとソウルやプサンで1週間以内で納品できる場合もあります。

そういった環境下でメーカー側でもODM生産の作り過ぎや、OEM生産でも取引形態によって消化仕入れだったりと様々な理由で在庫を抱えてしまいます。

さらに、日本人および日本のモノ作りは総じて品質基準が厳しく設定されています。

基準を満たさない商品は不良品(B品)として扱われて、一部アウトレットなどで販売されることはあっても、多くは世の中に流通することはありません。

ブランドによって品質基準は異なり、独自で品質検査を行なったり、第三者機関を利用したりと様々ではありますが、検査結果が納品先の基準に満たない場合は、たとえ大量に生産した後であっても納品は許されません。

ただ基準があるとはいえ、一連のやりとりの中でメーカーが「どこが不良なの?」「これくらい」と感じていても、ブランド側に不良だと押し返される場面は多々あったりもします。

こういった生産背景の多くはどちらが悪いと言うわけでもなく、大半はコミュニケーション不足によって生じていて、それを解決するだけでもこの問題は軽減されるのではと思います。

ブランドもメーカーも少しずつを積み重ねて

大量生産・大量消費問題に対しての消費者の関心は日に日に高まっています。

だからこそ、ブランド・メーカーは市場を異常なほど飽和させてしまっていること、さらには自然にも悪影響を与えていることに対して当事者意識を持たなければなりません。

作りすぎを減らす為のSCM(サプライチェーンマネジメント)を利用した取り組みであったり、作りすぎたものをうまく活用していく取り組みも徐々にですが問題提起、そして認知され始め、それらもテクノロジーの進化とともに解決できる部分も増えています。

代表的なものでは、販売需要の予測であったり、生産業務の効率化であったりと他にも様々な工程に様々なツールが開発されています。

それらテクノロジーの特性を理解したうえで、自分たちの取り組みに落とし込むと言うことは、これからの時代、ファッションビジネスを行う事業者にとっての義務ではないでしょうか。

ただその一方で、やはりファッションである以上「テクノロジー」「エシカル」「サスティナブル」と言う様な表現が先行してしまう様な状況はあまり健全ではない様にも感じています。

それらの表現が全面に出ることがファッションから独立性を奪い、コモディティ化に繋がる可能性があると感じるからです。

ファッション業界の構造はそう簡単に変わるものではないかもしれませんが、ファッションという軸はブラさずとも、少しの当事者意識、少しの取り組みによる積み重ねで必ず良い方向に向かうと私は思います。