ファッションの科学 #018 スケールに向けて

こんにちはマスダです。

新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいという方の少しでも力になれればいいなと思い、ファッションビジネスを論理的に解説するシリーズ第18回【ファッションの科学 #017 ピボットの実施】の続きです。

ここまでの#001〜#006では「アイデアの検証」#007〜#010では「課題仮説の検証」#011では「前提条件を洗い出す」#012〜#013では「課題〜前提の検証」#014では「ユーザー実験の準備」#015〜#017では「最初の評価」「ピボットの実施」について話をしてきました、今回は「スケールに向けて」について話していきたいと思います。

ユニットエコノミクスの健全化

ユニットエコノミクスとは【1単位(顧客数)当たりの経済数】です。

1単位「顧客(ユニット)」に対する経済性を表す指標で、多くの場合「顧客1人から得られる利益」を意味します。

これまでPMFを達成するまでは、顧客のニーズや課題と向き合ってきました。

こうした活動は少ないリソースの中で、カスタマーに求められている商品を作り上げる為でした。

そうして、カスタマーに受け入れられる商品を作る事が出来てきたのであれば、スケール(事業拡大)を目指す段階に入っていきます。

これまでは評価を定量分析する為のAARRR指標のうち、顧客の定着を重視するために、アクティベーション(ユーザー登録)とレベニュー(購買)の比率に注目してきました。

AARRR指標について詳しくはこちら【ファッションの科学 #015 最初のKPIを設定する

スケールを実現する為には、残りの3つの指標であるアクイジョン(顧客獲得)、リファラル(口コミ)、リテンション(継続利用)をより意識していかなければなりません。

これによりユニットエコノミクスを健全な状態に変え、顧客が増える事で利益も増える形を作っていきます。

ユニットエコノミクスをプラスにする。

具体的には顧客一人のLTV(生涯価値)からCPA(顧客獲得コスト)の差がユニットエコノミクスになります。

LTVの算出はいくつか方法があるのですが、アパレル(小売)で考えるのであれば、

①顧客の平均購入単価 × 平均購入回数

②(売上高 – 売上原価) ÷ 購入者数

の考え方が適しているかと思います。

そしてCPAの算出の仕方は

・広告総費用÷顧客獲得数=CPA

なのですが、加えて上限CPAという考え方で

LTV×粗利率=上限CPAという考え方もされます。

この上限CPAという考え方は、

一人あたりのLTVが3万円の場合(平均購入単価1万円×平均購入回数3)から原価9千円(原価30%×3)を引いた2万1千円が上限CPAになります。

このLTVからCPAを引いてプラスになると、ユニットエコノミクスが健全な状態と言えます。

当然の話ですが、ユニットエコノミクスをプラスにするためには、少ないコストでカスタマーを獲得する施策を打つこと(CPAを下げる)、できるだけ購入回数を増やすこと(LTVをあげる)かのどちらかです。

なぜ、スケールする前にユニットエコノミクスを健全化させる事が重要なのかというと、PMFを達成したであろう時点ではこのユニットエコノミクスがマイナスであるケースがほとんどです。

むしろプラスの状態でカスタマー求めている商品を既に提案できていることはとても難易度が高いです。

アパレルブランドが失敗する理由は

・カスタマーが定着する前に資金が枯渇してしまう。

・LTVに比べてCPAが高すぎて成長途上で資金がショートしてしまう

この2点がほとんどです。

その為、この時点でしっかりとユニットエコノミクスを健全化させてからスケールに臨む事が最善です。

営業売上だけを計測する

ユニットエコノミクスを計測するときには、自社の売上を「本業の売上」と「それ以外の売上」で分けて考え、「本業の売上」だけを計測する必要があります。

本業の売上というのは、商品の売上の事です。

それ以外の売上というのは業務委託料やコンサルティング料といった様な商品以外の売上です。

計測だけの話であれば、継続性の無い売上を換算すると、正確な数字がだせません。

加えて、本業以外の売上はキャッシュフローの助けにはなりますが、スケールはしません。

その様な業務に追われ本業がおろそかになってしまっては本末転倒ですので、やめておいた方が賢明です。

事業は基本的には勝手に大きくなるのではなく、スケールさせる為には急激に伸びているタイミングを見極めるかつ、現状のユニットエコノミクスを健全化させるところから始まります。

つづく