ファッションの科学 #016 KPIの分析

こんにちはマスダです。

新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいという方の少しでも力になれればいいなと思い、ファッションビジネスを論理的に解説するシリーズ第16回【ファッションの科学 #015 最初のKPIを設定する】の続きです。

ここまでの#001〜#006では「アイデアの検証」#007〜#010では「課題仮説の検証」#011では「前提条件を洗い出す」#012〜#013では「課題〜前提の検証」#014では「ユーザー実験の準備」#015では「最初のKPIを設定する」について話をしてきました、今回からは「KPIの分析」について話していきたいと思います。

最重要KPIは定着率

多くの顧客を獲得し、多くの人が定着して、コンバージョン(商品を購入する)のが初期段階では最初のゴールになります。

しかし、前回の話でもあった様に、最初の時点でスケーリング(拡大)をしようとしても時期早々な状態になってしまいます。

まず最初は少人数に熱狂的に愛してもらう商品を作るべきです。

スタートアップの世界では「Rule of Cross-10(最初の10人に売る)」という原則があります。

最初の10人にすら売れないものは、100万人に売れる商品には絶対になり得ないという意味です。

カスタマーの数を増やすには、順番があります。

まず考えるべきは、商品に最初に注目してくれた一部のカスタマーをそこそこ気に入っているというレベルから、熱狂的なファンに育てる事です。

熱狂的なファンが育つほど魅力的な商品であれば、それに注目して購入してくれる人も増えます。

また熱狂的なファンは周囲に商品を広めてくれます。

こうした好循環を作る事ができてから、ブランドの拡大を考えればいいです。

では、カスタマーがどれだけ商品のファンになっているのかを確かめるには、どの指標を見ればいいのか。

商品への愛着を図るには「Activation」「Revenue」「Retention」の三つで、「買ってみたい」「買った」「また買いたい」と考えるカスタマーがどれだけいるかが、商品に対しての熱狂度を図るものさしになります。

その中でも「Retention(再訪問・再購入)」が商品がカスタマーの心に刺さっているのかの重要な指標になります。

自分が好きなブランドを思い出してみてください。

そのブランドの広告やSNSをみて購入するのではなくて、そのブランドをチェックする事が習慣化されていませんか?

ワンピースが欲しければ●●、コートが欲しければ●●みたいに自然に記憶に刷り込まれていっているかと思います。

カスタマーの定着率を上げるには、記憶に深く定着して、自ら購入したいという動機を持つ印象と商品を作らなければなりません。

効率的な指標とそうでない指標

さまざまな指標がある中で、指標によっては初期の時点では必要のないものもあります。

貴重な時間を無駄にしないためにもいくつか例を挙げてみます。

①結果指標のみしか見ない

アパレルECでよく指標として見られがちなものが、ユニークユーザー数(UU数)ページビュー数(PV数)です。

加えて、売上高やCPA(顧客獲得コスト)といったものは結果指標と呼ばれるものです。

これらが不必要なものではないのですが、結果指標だけでは課題が見えず、課題が見えないと次にどんなアクションを取ればいいのかが見えてきません。

なぜ、結果指標がその数値になったのかを説明できる別の指標を準備しておかなければなりません。

②アクションできない指標を見てしまう

新規ユーザー獲得といった、スコープが大きい指標だけをおっても、次に起こすべき具体的なアクションは見極められません。

こうした粗い指標だけでなく、例えば新規のユーザーがどんなページからサイトに来ているのか?参照元の構成比を調べてみます。

あるインフルエンサーからの流入からの購買が多いのであれば、その人か、類似のインフルエンサーに商品を着用してもらう様、依頼するといったアクションをとる事もできます。

③一見相関性がある様に見えるだけの指標もある

データの推移は一見相関関係があるけれど、因果関係にない指標はよくあります。

実際にグラフの形が似ているだけで一見相関性がある様に見えるだけの指標もあるので、そういった指標を選んでしまうと、無駄にリソースを費やしてしまうので注意したいです。

自分たちの商品が広まらずにいると、前に進んでいない。評価されていないという風に感じ、自分を安心させるためにPV数やUU数といった、自分たちが評価されていると感じやすい指標にとらわれる事がよくあります。

それと同じで様に、SNSのフォロワーを誇示する場合もありますが、フォロワーがいくらいようが、商品が愛されているという直接的な因果関係はありません。

勘違いしがちな指標

前述した様に自分たちが成果を上げていると思い込みがちな指標がいくつかあります。

その例を挙げていきます

●ページビュー(PV)

ユーザーがウェブページを踏んだ数。

アドセンスなどのアフィリエイトでもない限りRevenue(購買)とは結びつかないので意味はありません。

●訪問者数(UU)

誰がどれくらいの頻度で来ているかはわからないので、訪問数だけが伸びても意味がないです。

●SNSのフォロワー、いいね

商品が認められているかどうかとは関係がない。(何百万とかあれば話は別ですが)

●滞在時間

総合的な滞在時間ではなく、どのページに滞在していたかでなければ意味がありません。サポートやカスタマーに滞在時間が長ければ、単純にサイトが使いづらいのだろうし。

●メルマガ会員数

配信数だけが多くても、プロモーションのメールを打ってみて実際にどれくらい開封されているのかがわからなければ意味がないです。

ここで挙げた指標は、ユーザー数などの様に自然と積み上がっていくものがほとんどです。

しかしこれらの数字をいくらみても商品がどれだけ受け入れられているのかはわかりません。

むしろこうした指標に囚われて、間違ったところにリソースを割り振る事があなたのビジネスに悪影響を与えかねません。

つづく

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ファッションの科学 #017 ピボットの実施