ファッションの科学 #015 最初のKPIを設定する

こんにちはマスダです。

新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいという方の少しでも力になれればいいなと思い、ファッションビジネスを論理的に解説するシリーズ第15回【ファッションの科学 #014 サンプルを利用しての実践】の続きです。

ここまでの#001〜#006では「アイデアの検証」#007〜#010では「課題仮説の検証」#011では「前提条件を洗い出す」#012〜#013では「課題〜前提の検証」#014では「ユーザー実験の準備」について話をしてきました、今回からは「最初のKPIを設定する」について話していきたいと思います。

定性的・定量的に分析していく

ここまでのお話で、いざ市場に商品を投入するところまで説明してきました。

次は販売開始後のカスタマーフィードバックをもとに定量データと定性データを分析していきます。

分析から得た新たな学びに応じて、MVPを改良するなどして、また商品の検証を行ない「スプリント」を繰り返していきます。

こうして市場に受け入れられる商品へと昇華させていくのです。

そこでよく一般企業で効果を測定する為に用いられる指標が売上高や利益率といった目標達成の目安(KGI 重要目標達成指標)、そしてそれを達成するための客単価や顧客数などのKPI(重要業績評価指標)などです。

しかし、市場に出したばかりの小さなファッションブランドにとっては売上高や利益率なんて指標は重要ではありません。

大事なのは「商品がカスタマーに愛されているのか?」がPMF達成前の絶対的な指標になります。

カスタマーの数が少なくても愛されるものを作れているのか?が重要です。

なので、可能な限りのカスタマーと話して「どういう状況が商品に熱狂的なっているのか?」という事を定性的に理解をして、そういった人たちを増やすにはどうすればいいのかを定量的に分解して次の目標としていきます。

そしてそれがどのくらいの規模になればPMF達成していると言えるのかという風に考えていきましょう。

AARRR(海賊指標)を使ってみる

前述した様に言っていても、やはり売上の事を考えないと不安になるという場合に実装してみてもいいのが、有名な指標の一つで「AARRR指標」です。

「AARRR(アー)」という名称が海賊の叫び声の様という事で、海賊指標ともよばれています。

AARRR指標はカスタマー獲得から収益を生み出すまでの流れを5段階に分けた評価指標です。

図の様に段階を追うごとに該当するユーザーが減っていくファネル(漏斗)状に並んでいます。

各要素の意味は下記の通りです。

●Acquisition:獲得(ユーザーがオンラインストアなどに訪問すること)

●Activation(On-boarding):使用開始(アカウント作成や商品ページの回遊、カート投入)

●Revenue:売上

●Referral:他者への紹介(SNSでシェアするなど)

●Retention:継続利用(再訪問、再利用してくれる)

です。

本来は「Revenue」と「Retention」の順序が逆ではあるのですが、ファッション小売であればこちらの方が正しいし明確な分析となるでしょう。

ここで特にフォーカスしたいのは「Activation」「Retention」「Revenue」の三つです。

最初の訪問でいかにユーザーを回遊させ(Activation)そして購入してもらい(Revenue)継続利用してもらう(Retention)という事です。

この3つの指標が前述した「人が欲しがっている商品になっているのか」という事を示す指標にもなります。

バケツの水漏れ

マーケティングではよくこの比喩がされる事があります。

前述した「Activation」「Retention」「Revenue」の三つの指標が高ければ高いほど、初めて店で購入してもらい、リピーターになってもらえば店は繁盛していきます。

しかし、物が悪く、接客も適当な状態だといくら広告にお金を使ってサイトやお店への流入をしていてもお客は定着せずに逃げてしまいます。

ネット上でも悪評が広まってしまい、客足は遠のいてしまいます。

1000人サイトを訪れて、購入してくれたのが1人だけだったとします。

すると、広告・宣伝費に莫大な金額をかけてサイト流入させても、バケツに穴(サービスや商品に欠陥)が開いたままであれば1/1000人しか購入に至りません。

これでは投資は全て無駄になってしまいます。

カスタマー行動を確かめ、直接その理由を聞いたりする事は、バケツの穴を探り当てて、それを塞いでいく作業に当たります。

PMFとはバケツの穴がほとんどふさがり、最初に獲得したユーザーを熱狂させ続け、定着させ続けている状態といえます。

AARRRを基にKPIを設定する。

AARRRを基に定量的な計測が重要な理由は次の3つです。

・目標に向かって、自分たちがどんな役割にいるかを認識できる

・KPIは創業メンバーなど、ステークホルダー間で使える共通言語になる。

・目標と現状のギャップが数値で可視化され、ギャップを埋めるアクションを導きやすい。

AARRR指標を具体的なKPIとして測定したらそれぞれの実数を記録に残すだけではなくて、比率で表すとスプリントを回す時の比較が容易になる。

最初のフェーズである「Acquisition(訪問者数)」を100%ととして、そのうち何%が「Activation(利用・登録)」したか、そこから何%が「Revnuue(購入)」したか、そして何%が「Retention」したのか。

これによって、ユーザー獲得から購入、再購入までの過程で何割のユーザーが脱落してしまうのかが可視化されます。

そしてそれぞれの項目にKPIを選んだら、目標値と現状のギャップを一目でわかる様にしておく事で、改善すべきポイントを絞り込む事ができるようになります。

つづく

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ファッションの科学 #016 KPIの分析