ファッションの科学 #014 サンプルを利用しての実践

こんにちはマスダです。

新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいという方の少しでも力になれればいいなと思い、ファッションビジネスを論理的に解説するシリーズ第14回【ファッションの科学 #013 課題の修正をしていく】の続きです。

ここまでの#001〜#006では「アイデアの検証」#007〜#010では「課題仮説の検証」#011では「前提条件を洗い出す」#012〜#013では「課題〜前提の検証」について話をしてきました、今回からは「ユーザー実験の準備」について話していきたいと思います。

その中から今日は「サンプルを利用しての実践」という話です。

課題仮説の確認をサンプルで実践していく

これまでの話で、あなたのアイデアや課題仮説は適切か?その課題を解決する方法は適切かを検証してきました。

それらの検証が済んだ段階で、商品サンプルを作成して確認していきます。

早くに成果を出そうと課題そのものや課題解決の検証が不十分のままいきなりサンプルを作り始めて失敗するファッションブランドはとても多いです。

こうしたファッションブランドは「学びを得るためにはとにかく市場に商品を出せばいい」と考えがちで、事前の検証には大した効果がないと思い込んでいます。

しかし、たとえサンプルであっても作成するには数週間〜数ヶ月かかります。

それだけの時間をかけて作成したサンプルが市場の必要とするものから全くずれてしまっていた場合には作成に要した期間がまったくの無駄になってしまいます。

金銭的なリソースも人的なリソースも少ない状況の中でのこのロスは致命的になります。

また適切なリリースタイミングを逃してチャンスを逃してしまうこともあるかもしれません。

課題ドリブンではなく、単純に【リプレイス(他のブランドからのシェアを奪う)】だけを狙っているブランドもあるかもしれません。

リプレイスを狙うことも、競合優位性の検証ができていない状況であればリプレイスなどできる訳がありません。

1stサンプルでニーズを探っていく

ファッションブランドでよくありがちなのが、1stサンプル(もしくは2ndサンプルも)を作成して、自社内だけでの検討会などを行い、そのままマスメディアや関係者向けに展示会を行なってしまうというパターンです。

量産前のサンプルでの展示会と言えど、この時点まで作りあげてしまったものは結局生産を中止するか、そのまま販売してしまうかの2択しかありません。

その前に、1stサンプルの段階では必要最低限の機能のみをシンプルにデザインし、その時点でも外部にも意見を聞きながら、2ndデザインへと起こしていく方が効果的です。

そこには一つ留意点があって、たとえ1stサンプルで、シンプルな物であっても競合にはない価値を一つは盛り込まなければなりません。

素材なのか?パターンなのか?たとえシンプルなデザインのものであっても競合優位性が体感できることが大事です。

一般的にファッションブランドでのサンプル商品は製品前の見本としての役割でしか使用されていないことも多いですが、自分で作成するにしても安くはない金額で作成するのであれば、有効に活用するべきです。

サンプルは変更してもいい

工業製品や一般消耗品と違い、販売サイクルの短い洋服の場合はいかに短い期間で売り切るかと考える場合が多く、前述した様に製品の見本程度にしかサンプル商品が考えられていないケースがほとんどです。

大量生産・大量販売を行う様なファッションブランドであれば、確かにその方法が合理的なのかもしれません。

しかし、SKU数も多くない、生産ロットも少ないファッションブランドにとっては、この一枚も大事にしなければなりません。

せっかくサンプルがリースされて、媒体に使用された、著名人に着用された。だからもったいないので、そのまま販売するといった意見もよく聞き受けます。

確かに販売消化が見込めるのであればそのまま作成すればいいです。

一方で、果たして本当にそれが売上げにつながるのかがわからないのであれば、捨てる勇気も大事です。

メディアや雑誌に掲載されて、数枚〜十数枚売れる事の利益と製品をドロップし、再度ブラッシュアップしたネクスト商品への期待値とを天秤にかける事は常に頭になければなりません。

余計なことを考えずにシンプルに考える

以前にも言いましたが、あなたがどれだけ優れていても、メンバーがどれだけ優れていても、最初の段階では作成アイテムを広げない方がいいです。

アイテムが増えるとどうしても市場投入が遅くなるだけでなくて、実験の要素が増えるので、何がカスタマーに受け入れられているのか?の検証がやりづらくなりますし、コストもかかります。

加えて展示会などを開催すると、どうしてもメディアや著名人、業界関係者を招待するので、彼らの意見を取り入れがちです。

彼らが純粋にカスタマーとしての意見をくれるのであれば問題ないですが、「一般的に」「市場では」といった第三者論であれば無視してしまってかまいません。

あくまでも目を向けるのは消費者であって、メディアでも販売代理店でもありません。

展示会を行うのであれば、あくまでも消費者としてのインタビューを行うための場と考えるべきです。

せっかく作ったサンプルは最大限に活用しなければなりません。

つづく

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ファッションの科学 #015 最初のKPIを設定する