こんにちはマスダです。
新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいって方の少しでも力になれればいいなと思い、ファッションビジネスを論理的に解説するシリーズ第13回【ファッションの科学 #012 エバンジェリストを見つける】の続きです。
ここまでの#001〜#006では「アイデアの検証」#007〜#010では「課題仮説の検証」#011では「前提条件を洗い出す」について話をしてきました、今回も#012からの流れで「課題〜前提の検証」について話していきたいと思います。
という事で今日は「課題の修正をしていく」という話です。
ジャベリンボードの結果
ここまで進めてきたカスタマーインタビューは、自分たちが立てた課題仮説やその前提条件を検証、また潜在課題の発見や、現状代替案の不性を明らかにするために行ってきました。
インタビューが終われば、その結果を分析して、結果と学びをジャベリンボードに書き込んでいきましょう。
まだまだ不確実な前提条件はたくさんあるかとも思うので、一回のサイクルでカバーができなければ、残りは次回以降のサイクルで検証していきましょう。
こうやって仮説構築(ブレインストーミング)と実証(インタビューなど)のサイクルを5.6回繰り返せば、フォーカスすべき課題は自ずと見えてくるはずです。
既に有効な代替え案があったり、課題に対する痛みが深くなかったりといったように、自分たちの課題仮説が反証されたとしたら、それも大事な学びになります。
自分たちの商品を形にしようと、焦って課題仮説を大した根拠もなくでっちあげたり、そのままリプレイスすることを狙ったりする事がとても多いです。
反証された課題仮説は、時間がかけるだけ無駄なので、早々に捨てる意思決定が必要です。
そのままの商品ではリプレイスなんて出来るわけがありません。
インタビューの数は前提条件の数×5人を頑張ろう
一つの課題に対して最低何人くらいにインタビューをすればいいのかというと、目安は20人ぐらいです。
アメリカの工学博士であるヤコブ・ニールセン氏が打ち出している「マジックナンバー5」というコンセプトがあります。
これはユーザビリティー(使い勝手)の問題をあぶり出すテストを行った際にテストユーザー数と問題発見率の関係を表したものです。
ここでいう5人のユーザーとは、同一セグメントのユーザーです。
そして同じセグメントのユーザー5人と話すと問題の80%は発見できると言われています。(例えば、都心で総合職として働く20代後半の独身女性といったセグメントなど)
ただし、プロブレムインタビューの場合、最初はインタビュー相手が同一セグメントのユーザーか否か、わからない事も多いです。(条件を指定して募集をした上で話を聞いていたのならわかりますが。)
なので、インタビューを重ねる中でカスタマーセグメントが徐々にプロットできることを考えると、一つの仮説につき、最低5人。
例えば仮説の数が3つであれば最低15人にはインタビューしたいです。
また、先日のエバンジェリストの話でもいいましたが、このインタビューを通して、ユーザー目線で遠慮なくフィードバックをくれることは、とても重要なことなので、そんな人に出会えたら報酬を払ってでもアドバイザーなり、アンバサダーとして協力をお願いするべきです。
面倒なことだからこそ優位性が生まれる。
ここまでに「アイデア」「課題」「仮説」「前提」といった流れを説明してきましたが、はっきり言って、この作業は面倒でしかないです。
この作業を行なっている間にも、もしかしたらアイデアが真似されてしまうのではないか?先に商品を作ってしまった方がいいんじゃないか?といった考えや、「やってみなきゃわからない」といった考えになってしまうこともあります。
それは大きな過ちであって、これらの全ての作業を行うとなれば、相応の時間はかかるかもしれませんが、一つ一つの作業は、言っても2,3時間で終了します。
なんの検証もせずに時間とお金を使い、市場にかすりもしない商品を作ってしまっても、何かを作った気や何かを達成した気にはなっても、実は何も得ることができていません(何のインサイトも得れていない)。
実際にそうしてずるずると廃業していくブランドをいくつも見てきました。
自分のセンスや感性なら、この素材を使えば、このデザインであればといって世に打ち出しさえすれば、それがSNSで拡散されて一気に多くの人の目にとまると思っているなら、今すぐ考えを改めるべきです。
ファッションブランドに限らず、一番最初の段階は当たり前の様に泥臭いです。
センスや感性だけでは個人の域を出ることができません。
それをファッションブランドに昇華させる為には「仮説構成」「ヒアリング」「コミュニケーション」などのスキルは必須です。
最後に
これらの作業はやろうと思えばいつまでも仮説・検証を繰り返すことができます。
その為、ある程度ここまでという線を引き、商品の展開にフェーズを移して行かなければなりません。
その目安として
①課題が存在する前提条件をしっかりと検証し、課題が存在することが確認できた。
(課題はカスタマーの十分な痛みを伴うものか?カスタマー自ら言語化できていいなかった存在課題を見つけることができたか?)
②課題を持っている顧客イメージ(ペルソナ、カスタマージャーニー)を明確にできたか?
(課題を持っている顧客心理状態を明確化できているのか?)
ということを目安に次のステップに移り、思う様に行かなかったら、また課題仮説の検証を行っていくのです。
つづく