ファッションの科学 #010 カスタマージャーニーを作る

こんにちはマスダです。

新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいって方の少しでも力になれればいいなと思い、ファッションビジネスを論理的に解説するシリーズ第10回【ファッションの科学 #009 ペルソナの想定】の続きです。

ここまでに「課題」「課題の質」「タイミング」「全体像の把握」「SMBの強みと大企業のジレンマ」「アイテムを定めて展開する」「リーンキャンバスの作成」「ピボットは逃げではない」「ペルソナの想定」という話をしてきましたが、今回は「カスタマージャーニーを作る」という話です。

カスタマージャーニーを作ってみる

ペルソナ、エンバシーマップによってカスタマーの置かれた状況や、心理状態をある程度言語化できても、ペルソナのみだと柔軟すぎてしまう部分があります。

ペルソナを想定する際、ファウンダー(起業家)は課題仮説で想定したカスタマー像を補強するための役回りを【演じさせる】ことがしばしばあります。

つまりそれは、作り手側の都合を優先してしまうという事です。

それを回避し、よりリアルなカスタマー像を浮かび上がらせるには、ペルソナやエンパシーマップに加えてカスタマージャーニーを考えてみる事です。

カスタマージャーニーとは、現在カスタマーがどの様な心理状態でどのようなステップを踏み、購買までに至るのかをカスタマーの動きに沿って、可視化していくフレームワークです。

想定したペルソナの行動を具体的なステップ・バイ・ステップのストーリーに落とし込み、カスタマーの仮説を立体的に検討していきます。

ファッションブランドを構築していく上で大事なことの一つに、ディレクター・プロデューサーもしくは事業責任者がストーリーテラーでなければなりません。

つまり、カスタマー目線でストーリーを語れなければならないということです。

ストーリーを作るときは、行動をただ単にトレースするのではなく、その行動の裏にある顧客の感情の波にフォーカスしなければなりません。

どのポイントで不都合(不満、不便、不快、不全)を感じているのか?

その不都合を強いられる状況の臨場感を高めると、課題仮説がより磨かれていきます。

カスタマージャーニーを作るメリット

カスタマージャニーを作っておくことのメリットには次の様なものが挙げられます。

・ペルソナを動的に描写すると見逃した事実に基づき、思いも寄らないアイデアが生まれる。

前回までに立てたペルソナ、エンバシーマップでは、客観的事実と、ペルソナの見聞を把握しました。

その後実際にそれらを基に動線を考えていくと、細かな部分でも想定したものと違うものが見えてくることがあります

・チームでの共通理解が深まる。

カスタマージャーニーが可視化される事は、ペルソナ/エンバシーマップ同様、チーム内での共通理解につながります。

・心理状態や特定の行動について議論できるため、論点が具体的になる。

想定通りにいかない場合にも、現在カスタマーがどの様な心理状態でどのようなステップを踏み、購買までに至るのか?その過程のどこに落ち度があったのか?といった様に論点を具体的に検討することが可能です。

・複数メンバーがそれぞれジャーニーマップを描くことで、お互いの見逃していた点にきづく

カスタマージャーニーを作成するときには、複数人で一つのものを作るよりも、一人ずつ作ったものを持ち寄って、まとめていく方が効率的で完成度も高いです。

カスタマージャーニーの作り方

では実際にカスタマージャーニーを作っていきます。

ステップ 1 ペルソナを確認する

今までに書いてきた、リーンキャンバス・ペルソナ・エンパシーマップなどで、カスタマー像の設定を改めて確認します。

ステップ2 このペルソナの目標を考える

カスタマーが達成したいこと(得たい満足)とその理由を明らかにする。

ステップ3 ステップを書き出す

特定の行動を取るとき、カスタマーがしそうな大まかな行動をステップに分けて書き出します。

ステップ4 詳細な行動を書き出す

大まかな行動のステップをさらに細かく分解していきます。

ステップ5 行動の裏にある思考を書き出す

あらゆる行動には理由があるはずです。

なぜその行動をとったのか?カスタマーの意識の動きを想像してみます。

ステップ6 タッチポイントを書き出す

人、店、ウェブサイト、アプリ、業務システムなど、ステップごとにカスタマーと接点を持つ要素をリスト化します。

このとき、スマホやSNSによるユーザーとの接点が主要な検討項目になったことを留意しなければなりません。

現在社会では、カスタマージャーニーのステップはスマホを通じたやり取りを中心に展開しておくことが不可欠です。

ステップ7 感情を書き出す

場面が変われば人の感情は浮き沈みがあるので、その感情の波を可視化していきます。

特に「場面ごとの痛みの度合いがどれくらいか?」ということと、「カスタマーの不都合が怒りの感情まで到達するのはどこになるのか?」を検討することが肝心です。

カスタマーが抱えている不都合がなぜ起きているのか?できるだけ深く洗いだすことが重要です。

ステップ8 現状の課題点を書き出す

他の全ての項目を記載したのちに全体を俯瞰してカスタマーが直面している課題は何かを抽出します。

作成するときのポイント

最後にチームでカスタマージャーニーを作り込んでいくときのポイントを整理します。

・全員が書き込む要素を見たり、指差したり、追加したり、動かしたりできるように付箋やカードを使います。

・ペルソナの行動や思考に関するアイデアをまず単語ベースで付箋に書き出していきます。

・付箋やホワイトボードや壁に貼りだし、他のメンバーに対して説明を行い、周囲のフィードバックをもらう

・最初から完全なものを作ろうとせずに、定期的に更新する(ペルソナ・エンパシーマップ同様、カスタマージャーニーも変化に応じて磨きこんでいきます)

・カスタマーが痛みを感じるポイントを見つけるためのツールであり、万能ではないことを認識する。

・カスタマーを頭で理解すると同時に、カスタマーの意識を【感じる】様に心掛ける。カスタマーの意識・感情をより明確に整理できたら、エンパシーマップも同時に更新する。

優れたカスタマージャーニーが作成できれば、カスタマーを多角的(行動・感情)に観察ができます。

デザインは細部に宿るではないですが、面倒でも細かな分析・想定を行うことで堅実なビジネスに成り得るのではないでしょうか。

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つづく

ファッションの科学 #011 ジャベリンボードで課題を洗い出す