ファッションの科学 #004 全体像を把握するという事

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こんにちはマスダです。

新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいって方の少しでも力になれればいいなと思い書き始めて第4回【ファッションの科学 #003 タイミングの重要性】の続きです。

ここまでに「課題」「課題の質」「タイミング」の話をしてきましたが、今回は「全体像の把握」という話です。

PEST分析をやってみる

前回の話でタイミングの重要性の話をして、先の未来を予測するという事の難しさの話をしました。

とはいえ、たとえ未来の話であっても、それを予兆するための兆しはきっとあります。

それを見つけること、その兆しにBET出来ることがビジネスの命運をわけることにもなります。

兆しを見つけるために有効な手段として、マクロ環境を多角的に把握するためのPEST分析というマーケティング手法があります。

PEST分析とは、マクロ環境分析をおこなうマーケティングフレームワークです。 PEST分析のPESTとは、「Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)」の4つの頭文字を取ったものです。

①Politics(政治)

=市場の枠組み・規制に影響するもの 例:法律、政治、条例

②Economy(経済)

=バリューチェーンに影響するもの 例:経済動向 所得、消費

③Society(社会)

=需要構造に影響するもの 例:人口推移 文化、流行

④Technology(技術)

=競争に影響するもの 例:技術革新

それぞれの領域に対しての情報を集めて、将来的にどう変わっていくかを自分なりに仮説立てて、最終的にその変化が自分のビジネスにどの様な影響をもたらすかを考えていくという方法です。

言葉にすると難しく思うかもしれませんが、例えばある都市があって、そこに街として様々な規制緩和がされました。(①政治)→そうして都市開発が行われ様々な人たちが街に流れてきます。(③社会)→すると街に商店も増え、テナントビルも林立していきます。(②経済)→そこでは競合含め何を商品として持ってくるのか(④技術)

この様な考え方もPEST分析です。

最初の規制緩和が起こった時点でその後の展開も予想できますし、逆にAirbnbやUberの様な今までに無かったサービスが流行り始め、規制が緩和されたり、強化されたりということがある様な事もあります。

そのように一見関係の無いと思える領域で起こる事象でも、その他の領域に影響を及ぼす事も多々あります。

少しだけでも自分のアイデアに対して、市場の全体像をリサーチするだけでも、どこにビジネスチャンスがあって、どこに地雷があるのかが見えてくるはずです。

全体像の把握は必須

次はPEST分析のテクノロジーという部分を掘り下げて考えてみます。

インターネットの興隆期には「Software is eating the world(ソフトウェアが世界を食べ尽くす)」と言われていました。時代はそこからどんどんと進化していて、今では「SNS is eating the world」と言われていたりします。

特に成長著しいアジア各国は情報検索にgoogleなどの検索エンジンなどではなく、SNSを利用します。

それはインターネット興隆期時点では環境構築もされていなくて、情報蓄積がされておらず、PCをつかったHPやBLOG、メルマガなどを飛び越してスマホの普及からSNSを利用する様になったため、検索エンジンよりもSNSの方が有益な情報が得られるからです。

以前に僕が話したインドネシアの方々もInstagramをカタログとして使用し、そこからショップブラウズして、問い合わせをWhatsApp 決済をPayPalといった形でスマホのみで完結させていました。

一方、スマホで完結させるという部分では流れが同じかもしれませんが、日本や中国などはまた環境が違います。

日本や中国ではメッセージアプリ(日本ではLINE、中国ではWechat)をハブとしていつの間にか機能が盛り沢山になっています。

LINEの機能をみると、ゲームも音楽もショッピング、クーポン、決済、バイトなど、他の既存サービスとの優劣はあるにしろ、このアプリ一つで完結する様にとなってきています。

ちなみに話が逸れるので割愛しますが、WeChatに至ってはもっと様々な使い方ができます。

そう考えると日本では、楽天やメルカリが経済圏と言う言葉を使ってサービスを網羅しようとしている動きなんかを考えても、一つのアプリやハブサービスでが様々なことを網羅していく可能性があるとも思えます。

そしてアメリカはというと、GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)と言われている企業がハブサービスとして、拡大しているところまでは日本や中国と同じですが、AIが急速に拡大傾向になっています。

googleでは検索履歴がアカウントごとに蓄積されていて、それに応じて検索結果がチューニングされています。

同様にフェイスブックのニュースフィードに表示されているコンテンツもユーザー行動もとに機械学習されていて、エンゲージメントが高そうな、興味のありそうな広告がフィードされています。(同じ会社なので、Instagramも同様ですね)

こういったAIによる快適さを高めるUXが今後の主流になると予想されています。

各国の動きや傾向を把握するだけでも、「気づき」のきっかけになります。

今現在の日本の流れだけを見ていると、じゃぁLINEや楽天に乗っかった方がいいのか?という風にも思えます。

しかし、かつて携帯電話がガラパゴス化してしまい、スマホ時代に乗り遅れてしまったり、シフトチェンジをできずに倒産・縮小してしまったりという事があった様に必ずしも国内の動きだけで把握できるものでもありません。

そのため、日本だけでなく世界中の全体像を掻い摘んだ部分だけでも把握することはビジネスを行う上ではとても重要なことになってきます。

全体像の把握からアイデアの質の向上へ

前述の話からも、アイデアの検証をするときにPEST分析や国内市場だけでなく、世界的な全体像の把握はとても重要なことと理解していただけたかと思います。

マクロの視点(全体像)で自分の市場を捉えて、ミクロ(事業)な視点を考えた方がいいです。

ファッション事業を行なっている人のほとんどが業界のランドスケープ(風景・全体像)は把握していても、その上の全体像を把握していない方がとても多く感じます。

決してファストファッションがどうこうという訳でもなく、全体像を見誤って、トレンドの潮流から乗り遅れてしまい、ガラパゴス化してしまっているのが今の国内のファッション・アパレル市場の状況です。

この辺りが世界的に伸びているファッション市場で国内市場だけが縮小してしまっている原因だと僕は考えています。

もちろん業界のランドスケープを把握するのは当然必要な事ですが、もっと大きな全体像から業界の位置付けを把握して、自分たちのビジネスのロードマップを落とし込む事が結果として課題の質、ソリューションの質を高める事にも繋がりとなります。

 

続く….。

▽この話の続き▽

ファッションの科学 #005 SMBの強みと大企業のジレンマ

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