こんにちはマスダです。
新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいって方の少しでも力になれればいいなと思い昨日から書き始めた【ファッションの科学 #002 課題をブラッシュアップしていく。】の続きです。
タイミングを考える
前回までの話で課題の質の大事さが理解できれば、次に行うなければいけない事はアイデアの検証です。
自分のやろうとしているファッションブランドが自分の人生を懸けてまで取り組むに値する事業なのかを検証していきます。
ファッションに限らず、ビジネスの成功率は次の5つで決まると言われています。
「アイデア」「商品」「チーム」「エグゼキューション(実行実施方法)」「タイミング」
他にも資金力など細分化すると様々な要素はありますが、本質を突き詰めるとこの5つと言われています。
この項目のうち何が大事かと聞かれると、ファッションブランドをビジネスにと考えている人のほとんどの人は「商品」と「お金」と答えます。
確かにそれも大事な事ではあるのですが、成功の可否に最も大きく寄与する要因は、タイミングと言われています。
前回の話にあった「なぜ自分がやるのか?」と同じくらい大事な事が「なぜ今やるのか?」という事です。
なぜ今やるのか?という答えに対して「自分が欲しい商品が無いから」といった様に、明確に答えられないのであればそのブランドは再考した方がいいです。
早すぎず遅すぎず
今の時代であればネットビジネスを始めようと思えば、クレジットカード一枚あれば、必要なインフラ環境は全て整います。
時代が進んで、テクノロジーが進化すると、商品を作るときに必要な要素技術のコストはどんどん安くなり、市場の競争は激化していきます。
実際にそういった影響もあってか、国内でのアパレル産業事業者は1980年代の隆盛期に対して4分の1まで減少しています。
だから、ここぞというタイミングを見つけたら、素早く動かなければなりません。
とはいえ、早すぎるのもダメで「元々プロデュースする人間のファンだった」「なんだかわからないけど面白そう」と言って、アーリーアダプター(初期採用者)が購入してくれても、先鋭的すぎるものは、その次のキャズム(溝)を越える事ができずに市場に定着する事ができません。
着眼点は良くても時期尚早でうまくいかないこともあるので、タイミングの見極めはとても難しいです。
最近だとリーバイスとGoogleが電導繊維を使用した商品を発売していましたが、こちらもまだまだ市場の理解が追いついておらず、不振に終わってしまった様な事例もありました。
他にも、早く参入しすぎて素材などの採用コストが高かったり、逆に開発を疎かにしてクオリティーが低かったりすると誰も相手にしてくれないし、かといって類似品などが販売され始めて市場が熟し始めると後手から参入しくる様な大手には勝てない上に、巻き返すのも困難です。
だからこそ、タイミングの見極めというのはとても重要になってくるのです。
ベストなタイミングを掴むために
ベストのタイミングをつかむために着眼したい事の一つに進化が止まっている領域を探すことがあります。
進化が止まっている原因が規制なのか、飽和なのか、独占的なのか何かしらの理由があって、競争が起きにくい環境になっているはずです。
市場を深く観察すれば、エンドユーザーが不当に凡庸な商品しか手に入れることができていない可能性があります。
例えば最近話題になったのが、ワークマンが提案していたアウトドアウェアなんかがそれに近いかもしれません。
多くのアウトドアブランドでは数千円〜数万円、中には十数万円の価格帯になっていましたが、ここに参入してきたワークマンでは数百円〜数万円程度と3割〜4割程度価格が安くなっています。
街着としてアウトドアウェアを着用している人にとってはそれほどインパクトのある話題ではなかったのですが、登山やトレッキングなどを趣味とする人たちにとってアウトドアウェアの市場に無かったローコスト/ハイクオリティ商品の登場は十分にインパクトのある商品となりました。
市場をある程度奪っていきたいと考えるならば、そのような硬直した領域を探し、風穴を開け、市場に新しい価値を提案できる商品を提案していくことも一つの手段です。
最近ではアイウェア(メガネ)業界はD2Cブランドの活性やIoT商品など、既存産業の再構築が行われたりもします。
テクノロジーの進化で要素技術のコストも下がり、インフラにかかるコストも下がっている事もあるので、再定義というものは意外と難しくないかもしれません。
先のことも想定する
ここまで「今やるべきなのか?」ということを言ってきていますが、現時点での市場ニーズを分析してもタイミングはきっと遅いです。
今この瞬間だけでなく、5年、10年と先を見据えて、「今後の需要に対して、供給が圧倒的に足りなくなるのはどこなのか?」「次のパラダイムシフトはどうなるのか?」を考えていくべきです。
それまで限られた海外コレクションからの発信であったファッションが、109カリスマ店員・裏原宿系といったファッションを等身大に捉える様になり始めた黎明期に目をつけた人達が急成長して市場を席巻したように、現在の2018年に黎明期にあるパラダイムに目をつける事が出来れば、10年後に業界を席巻しているかもしれません。
これまでも商品力や発信力など、自力で大きくなったというブランドも少なくは無いですが、そこからスケールしていくブランドは、間違いなくトレンドに乗ることに成功してきました。
数年先のことすら想定することが難しい時代に、5年、10年先のことを想像する事は決して簡単ではないですが、このトレンドに乗れないことなくしてはスケールすることは難しいです。
つづく
▽この話の続き▽