ファッションの科学 #001 課題(イシュー)から考えていこう。

こんにちはマスダです。

自分自身もファッション系のスクールなどで、講義を行う事もある身で言うのもなんですが、そういった場所で行われているカリキュラムがどうも商品・デザインといった部分に寄りすぎているなぁと感じています。

少し前であれば、それらがトレンドにうまく乗ることやインフルエンスされる事で、ビジネスとして成功する事もありましたが、そう言った考え方は今の時代には通用しません。

そこで新しくファッションビジネスを始める人や、ファッションブランドを立ち上げたいって方の少しでも力になれればいいなと思い、そういった方に読んでもらいたいなってことを書いていこうかなって思います。(最近、特に書くこともなくなってきたってのもありますが….。)

今回書こうとしている事は、僕が読んだ本ですごく為になったなぁって思う本の考え方がベースに、僕自身の経験や業界慣習なんかを交えながら書いていこうと思っています。

そのベースの本は「起業の科学」って本なんですが、これはスタートアップの教科書と言った感じの本です。

気になる方は↓読んでみて下さい。

起業の科学 スタートアップサイエンス

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課題へのフォーカスこそが重要

様々な業種の起業と同じく、ファッションブランドにとってもProduct Market Fit(PMF 市場に製品がハマる)が達成出来るか出来ないかはとても重要なことです。

いくら優れた商品を生み出しても、市場に受け入れられなければ成長は出来ないのは、マス(一般消費者)を相手にするのであれば当然です。

これはマスでなくても、ラグジュアリーだろうが、もっとニッチ(隙間)な市場だろうが同じ事です。

では、PMFを達成するためには何をすればいいのか?

自分たちのアイデアや商品・デザインが市場から求められているのかを最初に検証することです。

ファッションブランドを立ち上げる際によく聞くのが、「インフルエンサーを起用する」「ニッチな市場に向けて展開する」「伝統技術を使った本物志向」「サスティナブルへの配慮を目的とする」となんだかそれっぽいアイデアも含めて、色々なタイプが存在しています。

いずれにしてもそれらのブランドの確度を上げるために最も重要なのは、課題の質にフォーカスされ、それを解決出来るデザイン(商品)である事です。

残念ながら、多くのブランドが「課題ドリブン(課題ありき)」でなくて、「インフルエンサードリブン」「デザインドリブン」「技術ドリブン」です。

例えば、僕が今、アドバイスをしているファッションブランドでは、10万人程のインスタグラムフォロワーを抱えている女性をディレクターとして起用している会社があります。

10万人というフォロワーは確かに数としては素晴らしいし、それは一つの大きな武器になるのは間違いないですが、その数が 「=潜在顧客になる」というのは大間違いです。

これは典型的な勘違いで、「知人・友人だからフォローしている」「ライフスタイルに共感している」「ファッションに共感している」「ヴィジュアルが好きだから」などフォローするという行為にも様々な理由があります。

なので、そういったインフルエンサーを有していないブランドも、「自分たちに知名度があれば」「インフルエンサーに着てもらえれば」って考えるのも間違っています。

ここで大事な事は、「ファッションに共感している」という部分で、どんなファッションに共感しているのか?という部分で、前提として【フォロワー(ファン)=潜在顧客】にはならないと言うことを認識しなければなりません。

何十万人とフォロワーがいるのなら、ファンビジネスに近い形で、一定の売上は確保出来ると思いますが、ほとんどの場合はマスに向けて売るわけなので、その人たちの課題(欲しいもの)を十分に検証しないままに、その解決策(この場合はインフルエンサー)で戦うのは危険極まりないのです。

課題(イシュー)からはじめる

世の中には、国内だけでも様々なファッションブランドがあります。

有名なブランドから、WEBのみで販売しているブランド、個人で数枚ずつで作っているブランドなど、業態は違えど本当にたくさんあります。

その中で突出していく為にまず目指すことは課題(イシュー)の質とそのソリューション(解決策)の質がいずれも高いデザイン(商品)であるべきです。

その両方が揃っているからこそ、市場で輝く事ができるファッションブランドになります。

具体的にその為にはどういう考えをしていくべきなのか?

それは一つの簡単な事で、「現状ある課題を上げてから、デザインを行なっていく」ということです。

先にデザインを考えた上で、後から課題解決を後付けしていく方法なんてのは存在しません。

なので、ファッションブランドを始めるにあたって真っ先に注力するべき事は、解決を目指す課題の明確化を行うこと。

そして、「その商品は本当に購買客にとっての悩みである問題なのか?」「その商品に代替できるブランドが既に存在していないか?」

そのように様々な角度からアイデアの深堀りを繰り返していく事で、課題の質があがります。

それが出来たら、その課題に対する解決策を検討し、磨きをかけていく事で、初めて価値のあるアイデアに至り、そこからデザインが派生していくのが望ましいです。

課題を意識することの重要性

いくら資金力や実績があったとしても、課題の質を軽視して、商品ありき、とってつけたような解決策ありきで考えると、容易に失敗してしまいます。

資金力も人材も知名度も何もない様なブランドなら、なおさらであって、もはや自殺行為です。

運良くトレンドに乗り、うまくいったブランドも過去にない事は無いけれど、必ず数年後には行き詰まって身売りをするなんて話がほとんどです。

特段の課題解決を念頭に置かずにスケールしようとして、ここ最近によくあることが、クラウドファンディングなんかに手を出すということです。

とはいえ、「なんとなくよさそう」とか「みんな買ってるからいいかもしれない」といった風に、思いの外、一時的な資金は集まる事もあります。

クラウドファンディング全体に言える事だけど、アパレルにおいてもクラウドファンディングに集まる人は、自分自身の課題感というよりは、【目新しい物】【なんか面白そう】っていう感覚で購入する人が多くて、どこか衝動買いに近い感覚の様に感じます。

結果、初回の商品としては一定の成果を残す事ができたとしても、「興味本位のカスタマー」への購買のため、広いユーザーに向けて、その後にスケールしていく事は難しくなります。

販売手段やPR手段としてのクラウドファンディングはとても有効なものだと思うけれど、まず先に課題感というものを忘れてしまっては、単発的な商品となり、収入としても一過性のものになってしまいます。

一方で、そこに課題に向き合った理念や解決策があれば、デザインを派生させたりするなど、次のステップにも円滑に移行していくことが出来、継続的な取り組みにも繋がります。

自分ごとを課題にする事が第一歩

これだけ課題の質としつこく言っていますが、ではどう言ったものがファッションブランドを企画する上で、課題の質がいいものなのでしょうか?

一番簡単な方法は自分の経験に基づき、自分ならどう解決するのか?という順番で考える事がいいです。

例えば、前述のインフルエンサーで考えると、自分のフォロワーは10万人。→そのうちファッションに対してのエンゲージメントは20%ぐらい→20%はどんなファッションを求めている?→旅行中のファッションへの質問やレスポンスが多いなぁ→それはどんな質問?→機内ファッションについてが多い→じゃぁ機内でも着れてトランジットでもおしゃれな服装はどうだろう?→それはどんな素材のどんな服?といった形で、仮説を立てながら考えていくのが最も近道なのではないかと思います。

これはあくまで一例で、この様に仮説をいくつも積み上げることがファッションブランドとしての価値やユーザーを積み上げる事に繋がります。

実際のブランドを例に挙げると、ENFOLD(エンフォルド)というブランドがあります。

このブランドは、見た目にもデザイン性が高くスタイリッシュなブランドですが、

【実はほとんどの商品が洗濯機で丸洗いできる。】【体型の気になる部分がうまく隠れるようなシルエットになっている】という様な細かな課題解決がされていて、トレンドでもある雑誌VERYの購読層である主婦層をガッチリと掴む事に成功しています。

課題はなにも、自分ごとじゃないといけない訳でもないです。

周りの身近な人が抱えている問題でもいいです。

自分には子供がいなくても、周りの子育てをしている人たちが抱えている悩みを解決するということでもいいんです。

その課題のペイン(痛み)をしっかりとヒアリングして理解さえすれば、必ずしも自分ごとでなくてもいいので、何か悩みが無い?って聞いて回ることもひとつのビジネスアイデアに繋がるのではないでしょうか?。

それらを集めて、念頭に置き、デザイン展開していくことがPMFへの近道になり得るのです。

 

つづく

▽この話の続き▽

ファッションの科学 #002 課題をブラッシュアップしていく。