ブランド始めるなら、まず売上10億ぐらいを目指してみてはいかが?

個人や他業種の方からブランドを始める相談を受ける時に、たまに100億だ1000億だって目標を掲げる方もいます。

目標が高いのはいい事なのかもとも思いますが、僕自身今までに60億規模のブランドまで、0からのフェーズは、10億規模のブランド、それ以下の規模のブランドのマネージメントの経験しかありません。

それ以上の規模のブランドの事は正直わからないっていうか、語れる立場にもないのですが、側から見ていても、現状では売上10億前後ぐらいまでのブランドが安定しているブランドが多い気がします。

何十億・何百億・何千億ってブランドももちろん魅力的ではあるのですが、さっきも言いましたが、知らないし、語り様もないので、スモールビジネスがいいなと思う理由について書いていきたいと思います。

売上を拡大するためにはとにかくお金が必要

アパレル小売はとにかく営業利益率の低いビジネスです。ほとんどのブランドが売上規模に関係なく10%前後ではないでしょうか。

おさらいして、売上ー原価=粗利 粗利ー販管費=営業利益という感じなのですが、

  • 仕入量の増加
  • 販路の拡大
  • 従業員の雇用
  • 広告費

など、売上の増加とともに上記の経費がどんどんと増加しなければなりません。

売るものがなければ売上は伸びないので仕入れを増やす、そうすると在庫を保管する為の倉庫を契約したり、多くのお客さんに商品を売るために販売店舗を増やす、そこには従業員も必要です。

定期的に新商品を作らなければ飽きられちゃうし、様々な媒体に露出をしたり、広告を打ち露出しなければブランドは勢いを失っていくので、どれも削ることのできない経費です。

売上が順調なうちは問題ないですが、他の業種みたいに、徐々に売上げが下がって行くというよりは、急激に落ちる事も多いです。

そんな時に雇用した従業員のクビは簡単に切れないし、テナント出店では賃貸契約があるので、簡単にお店を閉店することも出来ない、とりあえず広告宣伝費をカットするとさらに売上の下落が加速するから、むしろ広告宣伝費を増やさなければならない。

と言った具合に、落ち目になってくると中々歯止めが聞きません。

その結果、売上げがまだ数十億円ある状態でも、経費が削減しきれずに大赤字なんてブランドも珍しくありません。

一度事業を拡大すると、簡単に小さくすることはできず、廃業してしまったり、売却されてしまうケースが多いもそういう事が要因のケースが多いです。

キャッシュフローが回らない。

商品を仕入れて販売するというアパレルビジネスでは常にキャッシュフロー(資金繰り)に対する懸念があります。

商品仕入れの目安として、予算に対して110〜120%ほどの販売在庫を持つブランドさんが多いです。(仕入率ってやつです)

そうすると、10億売るブランドの原価率が30%だとしたら、3700万円ほどの仕入れが発生します。

月に換算すると仕入れだけで308万円ほどの支払い。

10億売るブランドなら月に8,000万ぐらい売上あるし、利益率が10%でも800万円の利益が残るって考えると、全然回るじゃんって思うかもしれませんが、売上げというのは売れたら即自分達の手元に現金として残る訳ではありません。

店舗や自社ECを委託している場合、ファッションビルや百貨店なんかに出店していると、一旦ディベロッパー側に納金して、手数料を引かれたものが2週間〜4週間後に入金されます。

これは現金売上げのみなので、クレジットカードなどの決済だと、さらに入金サイクルが伸びる上に手数料も加算されます。

卸販売の場合もCOD(キャッシュ オン デリバリー)や末締め翌末払いだったらまだいいですが、手形支払いや、繰越勘定(支払いの一部だけ入金されて、翌月に繰越)みたいな取引形態の会社もあります。

そもそも在庫のシーズン消化率も60〜70%ぐらいですし、値引も行われています。

そんな現金がなかなか入金されない中で、仕入れなど経費の支払いは発生するので、損益計算書上は黒字でも、キャッシュフローがうまく回らないなんて事はざらにあり、最悪黒字なのに倒産してしまうケースもあります。

また支払いの為に売掛金を担保に借入れを行うと、キャッシュフローは回りますが、利息で利益率が圧迫されてしまい結果同じことになってしまう事もあります。

大きくなればなるだけ、小回りの利くことができなくなってしまう

先述した二つの事は、別に売上に関わらず起きることではあります。

じゃぁなんで小さくってのがいいっていうと、なるべくリスクの少ない施策だけを選びながら事業を回すことができるからです。

それができるのが10億前後までのブランドなのかなって思います。

この10億という数字は 2店舗で3億、WEB(自社・他社)で6億、卸1億ぐらいのイメージなのですが、これくらいであれば、自分たちの主導でほとんど決めれると思います。

しかし、これ以上に売上を何十億と積み上げていく為には、店舗出店や卸先の拡大は現状では避けて通れないのかなと。

そうすると、出店先の条件に合わせなければいけないケースも増えます。

卸先に関しても同様で、何百店舗と取り扱い店舗が増えてくると、条件の厳しい取引先も中には出てきます。

広告費に関しても数万人単位であれば、SNSなどの無料ツールを使っていても、運用方法次第でリーチする事も可能ですが、何十万人・何百万人とリーチしようと思うと、さすがにSNSだけではリーチしきれません。

そうなると、話は戻って、多額の経費をかけながら、時には他動的に運営を行わざる得ない状況になる可能性が高くなっていくと思います。

まとめ

必ずしも全てが上記の様な事もないですし、一定の売上げを超えてくると、利益自体も増えるので、自然とキャッシュフローも良好に回る様になってきます。

ただ潤沢な資金がある企業は大丈夫でしょうが、自己資金やわずかな投資で始めた様なブランドのほとんどがそこに辿りつく前に資金繰りがショートしてしまっているケースが多いです。

それに、ほとんどのブランドが旬な内にと拡大を急ぐのですが、ゆっくりと徐々に伸ばしていけば、様々な事象にもフレキシブルに対応が出来るので、必ずしも先述した様な事は起こらないとは思います。

一方で多額の投資を受けて始めてる場合には、結果を急がなければならなかったりもするので、致し方ない場合もあります。

そういった意味でも、事業拡大とそれに伴うリスクのバランスを考えて、2.3年の短期間で到達出来そうな売上が経験上、10億前後なのかなって思います。

堅実に事業が回っていて、それぐらいの売上げがあれば、綺麗な事務所とかボーナスとか社員旅行みたいな福利厚生とかにも注力して上げられる資金も出てくると思うので、従業員満足度も高くなるんじゃないでしょうか。