D2Cブランドと多くのアパレルブランドの違い。

こんにちは増田峻です。

先日、アパレルの在り方を変えるD2Cというビジネスモデル。でD2Cビジネスのことを少し書きました。

細かな部分は先日の記事を見ていただくとして、要は中間業者を極力省くことで、工場から店舗までのシンプルなサプライチェーンを実現したのがSPAで、D2Cはこれをベースにしたうえで、さらに店舗を運営する際にかかる費用も削減させるって方法です。

そうすることで店舗運営に関する経費がかからないので、利益率を下げて、質の高い商品を更にリーズナブルな値段で売ることを可能になります。

このビジネスモデルはEC版SPA、オンラインSPAとも称されていますが、アメリカではこれをベースにするスタートアップが急激に増えています。

D2Cブランドの2つの特徴

アイテムを絞った展開

D2Cブランドは基本的に限られたアイテムでスタートすることが多いです。

ルイヴィトンが鞄メーカーとしてのブランドを築いてから、ライフスタイル提案という形で販売商品を増やしていったように、ブランド力や顧客網を築いてから販売商品を増やしていくという考え方です。

多くの販売商品を抱えるD2Cブランドも最初は少ないアイテムからスタートであるケースがほとんどです。

例えば、Warby Parkerは$95のメガネのみ、Bonobosはデニム以外のメンズパンツのみ、Everlaneも無地のTシャツ・ネクタイ・かばんのみでのスタートでした。

ストーリー性を大事にする。

ストーリーによるブランディングもD2Cブランドの特徴としてあります。

D2Cブランドの多くは歴史が浅く、著名なデザイナーを擁している訳でもない為、ストーリーによってアイデンティティを築くブランドがほとんどです。

例えば、先日、オリジナルスティッチの話を聞いて、日本のアパレルに足りないものがわかった。で書いた、オリジナルスティッチなんかも、シリコンバレーの片田舎から、サンフランシスコのダウンタウンへ移り、自分達がレストランでドレスコードに対応するために始めたのがきっかけです。

ストーリーによるブランディングは従来の店舗での販売をメインに行うブランドよりも、自宅で落ち着いてゆっくり買い物が出来るD2Cビジネスとの相性が良いですね。

ブランドのストーリーに引き込まれると、ドラマや小説の主人公に感情移入してしまうように、商品を思わず買ってみたくなってしまいます。

またこれらを伝えるためにはサイトの作り込みも重要になってきます。

D2Cが持つ3つ強み

ではD2Cの持つ強みとはどういうものなのか。

一般的にあげられるのが以下の3つです。

  1. ブランドビジョンを伝えられる商品
  2. 顧客との関係構築
  3. 顧客データの収集・蓄積

1.ブランドビジョンを伝えられる商品

仲介業者を挟むことなく企画から製造・販売までをすべて自らで行う為、会社のビジョンや思想を直接購入者に伝えやすいのは大きな利点です。

例えば、顧客がそれを知りたいかは置いておいて、Everlaneが “Radical Trasnparency : 徹底的な透明性”というブランドコンセプトを伝える手段として、販売時に原価率を公開出来るのもD2Cというビジネスモデルならではです。

これを従来のアパレル企業で同じことをやるのは難しいです。

現在では商社やOEMメーカーが間に入ってしまうケースが多く、なかなか店舗無しでのブランディングは難しいです。

everlanetransparentpricing

↑ Everlaneは原価だけではなくその内訳をも公開しています。

材料費・労働費・関税・輸送費等の内訳や製造工場の詳細をEC上から簡単に見ることが出来ます。

2.顧客との関係構築

製造だけではなく販売も自ら行うことで、顧客とのタッチポイントを増やすことが出来ます。

顧客との関係の構築は「販売する時だけ」ではなくて、ブランドについて知ってもらう時から始まり、発送中のやり取り、返品の際のオペレーション等、要素は多岐にあります。

他のECサイトや小売店に卸してしまうと販売してから顧客が関係を築く対象はその他社になります。

ZOZOTOWNで購入した際に、購入商品と同時にZOZOTOWNのことも好き(嫌い)になるようなもんです。

D2Cブランドの限らず、顧客との関係性構築はブランディングにも大きな影響を及ぼすので、他社のオンラインサイト上での販売に慎重になるブランドも多いです。

3.顧客データの収集

ビッグデータって言葉がよく耳につきますが、上流から下流まで単に担うことで、より細かい顧客のデータを収集・蓄積することが出来るだけではなく、それらを新商品開発にも活かしやすい環境になります。

ファーストリテイリングの柳井氏がこれからの産業について「すべての産業は、情報を商品化する新しい業態に変わる」と話すように、アパレル業界も同様にデータの重要性は日に日に増していくと思います。

D2Cと大手ブランドの違い

今の時代、ほとんどすべてのブランドがECサイトを運営しています。

それにECだけで販売しているブランドもいっぱいあります。

それにSNSを運営していないブランドを探すほうが難しいです。

だったら「昔からあるブランドもD2Cブランドと対して変わらないじゃないか」そう思う人も多いでしょう。

似ているのはあくまで表面的な部分だけで、OEMでの生産に頼り切っている大手のアパレルメーカーとD2Cとの間の差は、川上に行けば行くほど大きくなります。

時代が移り変わり、テクノロジーが発達しても、生産やマネタイズ、流通等の”仕組み”の部分はそう簡単には変えれません

例えば、同じようにおしゃれなECサイトを運営しているように見えても、OEMメーカーに生産を委託していたブランドにとって、Everlaneのビジネスモデルは参考にはなっても真似することは出来ません。

実店舗をショールームとして運営し、販売はすべてECサイト上で行うなんていうことも、従来の仕組みで運営を続けてきた既存ブランドには不可能でしょう。

真似しようとするのであれば、すべてを変えてしまうか、全く参考にならないかのどちらかです。

一部だけ取り入れようとしても、ハレーションが起きるし、そんな上っ面騙されるほどに消費者はバカじゃないです。

仮に改革を決めたとしても、現在のブランドの上に積み重ねる以上は、今まで築いてきたブランドさえも損なってしまうかもしれないリスクがあります。

例え変化が必要なのはわかっていてもその決断は簡単にはできません。

まとめ

D2Cブランドは歴史も無ければ、創設者がアパレル業界で働いた経験が無いことも珍しくないです。

彼らはアパレル企業というよりも、どちらかというとIT企業に近いです。

アパレル業界で長らく”常識”とされていた時代遅れな風習などに囚われることなく今の時代やテクノロジーを活かした最適なシステムを一から創り上げる事が出来ることが既存のブランドとD2Cの最も大きな違いです。

それではまた!!