こんにちは増田です。
「文化が失われていく国は、やがて国としても滅びる」というのは、歴史上で何度も繰り返して証明されていることです。
これは他人事でなくて、むしろ今の日本はその運命を辿りつつあります。
その一つが日本の伝統工芸だと思います。
●廃れて行く日本の伝統工芸
かつて、日本は製造業が栄え、ものづくり大国でした。
その中でアパレル業は従来、輸出産業であり、世界遺産にもなった富岡製糸場がフル回転していた時期の国産比率は100%を誇っていたと聞きます。
しかし、1990年代には50.5%に下がり、2014年を過ぎると、3%台にまで落ち込んでしまいました。
理由としては、消費者の低価格志向が強まったこと。
ファストファッションの台頭によって安価な洋服が幅広く浸透したことなんかがあげられています。
直接的にそれらが関係しているのかは置いておいて、事実、メーカーの生産拠点はコストを抑えられる海外へと移行しています。
ただ業界の中にいると、根本は流通構造の問題が国産比率の減少に大きく関わっているように感じます。
工場と消費者の間には、OEM/ODM・商社・卸・小売などの中間業者がいて、それぞれのマージンを確保するために、値段を上げれない分薄利多売の構造になっています。
それらから、真っ先にそのしわ寄せが来ているのは、工場であることが多いです。
工場は過剰な価格競争に間接的に巻き込まれて、原価抑制を強いられることで適正な利益を得られないことで、全国規模で倒産や人員削減が相次いでいます。
●文化的な価値観の欠如
現在、国内のファッションの価値は「デザイン・値段・ブランド」の3つで考えられることが大半です。
「どこで、誰が、どのようにつくったのか」という文化的(カルチャー的)な側面はあまり着目されることがないため、その背景や、それらを担う職人に憧れる若者たちが現れることはなく、跡継ぎはどんどん減っています。
これはファッションに限った問題ではなく、伝統工芸品や工業製品などのものづくり全般に当てはまるんじゃないかなって思います。
重要無形文化財に指定され、第一線に立っている職人であっても、夜はアルバイトをしなければ生計を立てられないなんて話も耳にします。
この20年間で消え去ったものづくりの職人は、全国で800万人と言われています。
この現状が変わらなければ、職人の数は今後も減少の一途を辿っていくでしょう。
受け継がれてきた文化を次世代に残すためには、これらの価値観を広く広めなければないと個人的には思います。
●時代の変化に取り残されないこと
とはいえ時代は変わって行くので、職や職人、プロダクトが再構築される循環からは逃れることはできなし、逃れても意味ないです。
だからと言って、その文化の大切なエッセンスを残していくこと、歴史と伝統は大きな意味を持っているということは忘れてはならないことだと思います。
生産がオートメーションされ、機械化に対する懸念やソリューソンが繋がり方や、消費の仕方を変えることは、時代は最適化・効率化の波を作っていることですし、また人もそれを望んでいます。
個人的にもそういったソリューションは生産者と消費者間の中間コストを今よりはるかに改善し、最適化してくれると信じています。
既に今あるソリューションだけでも、ブランドや消費者と工場側がダイレクトにつながることなんていくらでもできます。
それらの情報を掴むということを怠った結果も今のこの状況を招いていて、自業自得とも言えるんじゃないでしょうか。
●まとめ
生産者側にとって、大事な事は自分たちで様々な情報をしっかりと拾いに行くことです。
良いものを作っていれば問題ないというのを奢りだと思います。
また販売者側も作り手がいなければ、商品すら作れないことを認識して、それらを守るために適正な価格で販売する努力をし、また表面的な部分だけでなく、背景的な面も発信して欲しいです。
最後に消費者も自分たちの文化に関心を持つことで、自国の文化を守ることに繋がるんじゃないでしょうか。
それではまた!!